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「あの子がスキだ!」「で、その子とどうしたいワケ?」
だれかを好きになったとき、自分の心に「この人と何をしたいのだろう?」と問うてみる……という人はたぶん少ないと思います。しかし、他人の恋愛話を聞いていると、
「…(この人はいったい、何がしたいんだろう?)」
と思わずにいられないことがたまにあるものです。特に男性の恋愛話を聞いていると「?」とフシギになってしまうことがとても多いのです。

たとえば、そんな疑問がわいてしまったとき、女の子に、
「で、その好きな人とどうしたいの?」と聞いてみると、なんとか納得のいく答えが返ってくることが多いものです。
「ううん、もう、彼の家に行ったりして、すべてを知りたい」とか、
「クワガタを捕まえにいくのでも、ガンダムのところにいりびたるでも何でもいい。彼の好きなことに付き合ってあげたい」
「付き合いたいとか大それたことは言わない。ただジッと見てるだけでいい」
というように、自分の望みがハッキリしていることが多いわけです。

しかし、ただ「○○ちゃんが好きだー」「こんなところもいい」といっているだけの男の子に「それで、どうしたいの?」と聞いてみると、
「いや、できれば告白とかしたほうがいいんでしょうけど……」
「好きとかそんなことは言えませんよ。恥ずかしくて……。そもそも、向こうに彼氏がいるかどうかもわかんないんですよね」
とナゾの回答が返ってきたりするのです。

私が聞きたいのは、
「告白する・しないではなく、ふたりでいっしょに何がしたいか? どういう付き合い方がしたいのか? ということなのよ」
と聞くと、とても深く悩んでしまう方は意外にも多いのです。

先ほど、女の子で「付き合いたいとかではなく、ただ見てるだけでいい」といった人がいましたが、彼女の場合は彼に恋人がいることをちゃんと知っていました。それを知った上で、
「あこがれの人なので、見ているだけで満足なんです。実際、付き合って相性がいいとも思えないし……。ただ、今は恋に恋してるっぽい状態が好きなんですよねー」
と、そこまで自分を分析していたのです。

ところが「好きと告白するつもりはなく、向こうに彼氏がいるかどうかも知らない」といった男の子の場合はまったく違っていたのです。

「同じ会社の後輩なんですけど、よく目が合うし、エレベーターで会ったらあいさつしてきたんで、向こうもまんざらでもないと思うんですよ。ただ、プライドの問題もあるんで、確実にこちらを好きという保証がないと告白とかできないから」
と、聞けば聞くほどますますワケがわからなくなってしまったという……。

そもそも、よく目が合うのは、君がいつも彼女をジロジロと見ているからでは? 同じエレベーターに乗り合わせたら彼女は後輩だもの、君でなくてもフツウに誰にでもあいさつするのでは? と言いたくなり、彼の分析にも疑問を抱かずにはいられなくなった次第です。

もちろん、人を好きになるのに理由などいらないし、理由を挙げつつ「こんなことをするのだ」と考えて恋愛するというのも、なんだか美しくないというか、清くないというか、とにかくいかがなものかと思います。

しかし、小・中学生(百歩ゆずって男子は高校生までふくんでもいい)でないのでしたら、「この人と付き合ったらどういうふうになるかな?」「自分はこの人とどういうふうに付き合いたいのかな?」ということを具体的に考えてみてもいいような気がするのです。エッチ方面のことだけではなく……。

まずは、自分が中心の考え方でもかまいません。この人は、自分の趣味の映画鑑賞(年間100本を上映で観る。家では休日前になると徹夜でDVDを観るなど)を理解して、少しは付き合ってくれるだろうか? と考えてみると、相手と趣味が合うかどうか、相手がどのあたりまで折り合いをつけてくれる性格なのかを知りたくなるはずです。

これによって、知らない相手を知ろうとする気持ち、相手と自分の相性というものを考慮する気持ちが生まれます。

とはいっても、実際に彼女と付き合う前の段階なので、自分の予想がすべて当たるとは限りません。けれど、少なくとも自分だけの「好き」が突っ走ることも少なくなるかもしれないわけです。

そうこうするうちに、彼女の人柄もだんだんとわかってきますので、
「彼女と付き合うとしたら、こんなふうになるかな?」ということも具体的に考えられるようになるはずです。

好きな人とどうしたいか……いつもいつも具体的に考えなければいけないというわけではありません。

けれど、考えなさすぎな状態でいると、どうしても妄想ばかりが先走ってしまいますし、間違った彼女像のまま、勝手なストーリーを作り上げてしまいがちになります。

確信犯的に「付き合っても気が合うと思えないし、見てるだけでいい」と片想いする自分を楽しむ余裕があるのなら、それはそれでかまいません(余談ですが、私は片想いがとても好きです)。

ときどきでもいいので「もし、彼女と付き合うとしたら、どんな関係になるだろう?」と考えてみると、そうじをしなくてはいけない、髪を切るべき、と気づくかもしれないし、もう少し規則正しい生活をしたほうがいいかも、と思うかもしれません。人を好きになるというのは、これまで自分でも気づかなかった自分に気づくチャンスでもあるようです。

というわけで、ぜひ「付き合ってみたらどうなる?」と考える作業、相手があって自分がいる……と想像してみることに取り組んでみてほしいと思います。
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